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2022.08.08

防衛費増額で防衛省の入札案件が増える?社会情勢と入札市場について解説

令和4年6月7日、経済財政運営と改革の基本方針2022が経済財政諮問会議での答申を経て、閣議決定されました。
「経済財政運営と改革の基本方針」は通称“骨太の方針”とも呼ばれ、国の重要課題や翌年度予算編成の方向性を示すものです。
この方針では「防衛力を5年以内に抜本的に強化する」と明記されており、防衛費の相当な増額を行うとしています。

また、政府は同年7月29日、令和5年度予算の概算要求基準を閣議了解。その際にも防衛予算に関しては概算要求を例外とし、上限枠は「予算編成過程で検討する」とのことです。

国の予算とは?

1年間の歳入と歳出の予定を示した計画のことを「予算」と言います。
国の翌年度予算は下記のようなスケジュールで決められます。

引用:国税庁/税の学習コーナー

防衛費の増額

防衛費増額はどのような動きから始まったのでしょう。
それは経済財政運営と改革の基本方針2022に明記されています。

第3章 内外の環境変化への対応
1.国際環境の変化への対応
(1)外交・安全保障の強化
(中略)
また、NATO諸国においては、国防予算を対GDP比2%以上とする基準を満たすという誓約へのコミットメントを果たすための努力を加速することと防衛力強化について改めて合意がなされた。
(中略)
また、前述の情勢認識を踏まえ、新たな国家安全保障戦略等の検討を加速し、国家安全保障の最終的な担保となる防衛力を5年以内に抜本的に強化する。

引用:内閣府HP/経済財政運営と改革の基本方針2022

ウクライナ侵攻により国防費増額を掲げる欧州が主となるNATO(北大西洋条約機構)。その対GDP比2%以上を基準とするNATOの動きに合わせ、日本の防衛予算も5年以内に大幅に引き上げる考えに繋がったようです。
さらに昨今の日本における厳しい安全保障環境に対応するため、国家安保戦略などの戦略3文書を令和4年の年末までに改定するとしています。

防衛力の「抜本的な強化」とは?

では、防衛力の抜本的な強化とはどのような強化なのでしょうか?

特に、スタンド・オフ防衛能力や無人化装備、宇宙・サイバー・電磁波領域を含む領域横断能力、機動展開能力、指揮統制・情報関連機能を強化するとともに、政府の他の枠組みも活用しつつ、民生技術を取り込み、AI、無人機、量子等の先端技術の研究開発を進める。

引用:内閣府HP/経済財政運営と改革の基本方針2022

スタンド・オフ防衛能力とは、対空ミサイルの射程圏外から巡航ミサイルなどで敵の根拠地や水上艦を攻撃する能力で、陸上自衛隊「12式地対艦誘導弾」の改良の加速化なども含まれるそうです。また、無人化装備とは、ドローンなどの無人化した装備品のことです。
このようにAIなど先端技術の研究開発を民間事業者の技術とともに進め、国の防衛力を高めるということが抜本的な強化にあたると思われます。

隊舎・宿舎の老朽化対策

今回の防衛費増額は、前述した防衛力の抜本的強化のほかにも、自衛隊員が任務に専念できる環境を整えるという狙いもあるようです。

あわせて、防衛力の持続性・強靱性を確保するとともに、現有装備品を真に有効に活用するため、必要な弾薬の確保、装備品の維持整備、隊舎・宿舎の老朽化対策への重点的な取組を進める。

引用:内閣府HP/経済財政運営と改革の基本方針2022

方針に明記されている通り、今回は弾薬などの装備品以外に、自衛隊員が生活する隊舎・宿舎の老朽化対策にも重点的に取組むとしています。
令和4年現在も自衛隊の施設は4割以上が旧耐震基準で建設されており、建物の多くが耐久年数を超えているそうです。施設の老朽化が自衛隊員の“士気”や“練度”に影響することを懸念して、重点的な対策を進めていく考えのようです。

防衛費増額で増える入札案件の予想

防衛費が増額になると、防衛省からの入札案件が増えると予想されます。
今回は、隊舎・宿舎の老朽化対策における自衛隊の施設(隊舎・宿舎)の工事について、現在どのような案件があるのか入札王で調べましたので、ご紹介いたします。

キーワード「改修」「工事」

件名:大久保外(4)隊舎改修等設備工事監理業務
発注地域:京都府,大阪府,奈良県
発注機関:防衛省/近畿中部防衛局
入札日(締切日):2022年9月22日
リンク:案件ページ

この案件は大久保駐屯地、宇治駐屯地、八尾駐屯地、奈良基地において、隊舎改修、食堂改修、既設建物解体、仮設建物設置、ポンプ室改修の電気・機械・通信工事管理を行う業務です。

件名:女性隊舎シャワー室改修工事
発注地域:青森県
発注機関:防衛省/航空自衛隊/第3航空団(三沢基地)
入札日(締切日):2022年8月19日

航空自衛隊東北町分屯基地の女性隊舎でのシャワー室を改修する工事の案件です。

件名:下北海洋観測所幹部隊舎屋根改修その他工事
発注地域:青森県
発注機関:防衛省/海上自衛隊/大湊地方総監部
入札日(締切日):2022年5月23日

海上自衛隊の海洋観測施設である下北海洋観測所の幹部隊舎における屋根の改修と外壁塗装改修、外壁一部の建具補修を行う案件です。

件名:美保通信所(3)隊舎外壁等改修建築工事
発注地域:鳥取県,広島県
発注機関:防衛省/中国四国防衛局
入札日(締切日):2021年11月17日

鳥取県境港市にある防衛省の電波傍受施設である美保通信所の壁等の改修を行う建築工事の案件です。

キーワード「新設」

件名:大井外(4)隊庁舎新設等建築設計
発注地域:埼玉県
発注機関:防衛省/北関東防衛局
入札日(締切日):2022年9月12日
リンク:案件ページ

埼玉県ふじみ野市の陸上自衛隊朝霞駐屯地大井通信所の隊庁舎新設、及び、埼玉県所沢市にある防衛医科大学校体育館解体などの建築設計業務です。

件名:佐世保米軍(2)隊舎新設建築工事監理業務
発注地域:福岡県
発注機関:防衛省/九州防衛局
入札日(締切日):2021年2月22日

長崎県佐世保市の米軍隊舎新設工事に伴う監理業務です。総合評価落札方式で入札が行われました。


いかがでしたでしょうか。
令和5年度予算における防衛費増額についてお話いたしました。
今回、防衛省からの工事関連の案件が増えると予想して「改修」「工事」「新設」とキーワードを使って検索した入札王の案件紹介もぜひご覧くださいね。

このように社会の情勢は刻々と変化しています。
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